FREE GAZA
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ヌーヴェルヴァーグの母が伝説の女性に捧げた、鮮烈のイマジナリーポートレイト。
ジェーン・バーキン一周忌を追悼して、アニエス・ヴァルダとの二作品をトリビュート上映。
配給: リアリーライクフィルムズ 後援 : agnes b. ©️ CINÉ TAMARAS / ReallyLikeFilms
上映作品
「アニエス V.によるジェーン B.」デジタルレストア・日本語字幕新訳版
アニエス・ヴアルダとジェーン・バーキンのインティメートな関係性の中で完成した、奇跡の映画。
「カンフーマスター!」デジタルレストア・日本語字幕新訳版
ジェーンのアイデアにアニエスが応じて映画化。40歳女性が15歳少年に恋するおはなし
8.23 (fri)より ヒューマントラストシネマ有楽町 / テアトル梅田
8.30 (fri)より 京都シネマ / シネ・リーブル神戸
他全国順次ロードショー
Messages des meilleures amies de Jane.
2023年7月16日に急逝したジェーン・バーキン。
時の大統領が弔意を示し、多くの映画人・音楽家がその死を悼んだ。
葬儀は全仏に生中継され、国民は悲しみの禍へ。
あれから一年。
ジェーン・ベー、あなたにもう一度会いたい。
Introduction
全てはジェーンがアニエスに送った「判読不能」な手紙からはじまった!
1985年に『冬の旅』を観て感動したジェーン・バーキンは、アニエス・ヴァルダに初めて手紙を書いた。しかしその手紙の内容が「判読不能」だったアニエスは、ジェーンが何を自分に伝えたかったのかを知りたくて、オー=ド=セーヌ県のソー公園に誘い出した。
その日は日曜日で、ジェーン・バーキンは嘆いていた。
「最悪!もうすぐ40歳になるのに。」
当時57歳だったアニエス・ヴァルダは、彼女の言葉に呆れてしまった。
「馬鹿げているわ、素晴らしい年齢じゃない!あなた自身のポートレートを撮る時が来たのよ!」
この時のランデブーが、アニエスとジェーンを結びつけ、『アニエス V.によるジェーン B.』を生み出すきっかけとなった。
アニエスは映画の完成直後にラジオ番組の取材を受けて、「私は変化に富んだ多様な女性の肖像を描きました」と語っている。
ちなみにイザベラ・ロッセリーニは、自身のフェイバリットフィルムの1作品としてこの作品のタイトルを挙げ、その証としてクライテリオンチャンネルのインタヴューにも応じている。
大人の女性と少年の恋
『アニエス V.によるジェーン B.』はジェーンから提案された幾つものプロットを、アニエスが、時代のアイコンであるジェーンの肖像画を何枚も描いていくような手法で制作が進められていた。当初はその中の一つのプロットとしてジェーンから提案されたのが、思春期の少年に恋する女性の話『カンフーマスター!』だった。アニエスはこの企画の脚本は書いてみたものの、監督はパトリス・シェローに相談したらどうかと考えていた。しかしジェーンが彼女の書いた脚本に愛着を感じていることを知り、やはり自分で監督しようと思い直した。
映画のタイトルをゲームの名前でもある『カンフーマスター!』にしたのは、彼女の息子であるマチュー・ドゥミの気を引くためだったと、アニエスは語っている。
なお「カンフーマスター」というゲームは、日本の「スバルタンX」の海外向けネーミングである。
切っても切れない関係に
ある二作品
『アニエス V.によるジェーン B.』と『カンフーマスター!』は切っても切れない関係にあり、監督が二部作と考えるほど絡み合っている。初公開時の予告編では、観客に「どちらか一作品をみたら、もう一本も」観に行くよう勧められていたそうだ。
クランクインから完成まで、一年半の期間をかけて制作されたこの二本のプロジェクトを機に、二人の女性は深い友情関係で結ばれた。アニエスは他人にジェーンのことを説明する時は、いつも「ジェーンはアーティチョークよ。おいしそうな葉っぱがたくさんあって、乾いた硬い層が少しあって、一番下には柔らかくて絶妙なハートがあるの。ジェーンは美しい。私は死ぬまで、あるいは彼女が死ぬまでそのことを言い続けるわ。編集テーブルの上で、アンドロジントニックとモデリングクレイ・イヴが偶然出会うようにね」。アニエス・ヴァルダが亡くなったのは2019年3月29日、90歳だった。その日、ジェーン・バーキンは「木の実の入ったバッグを持ち、何事にも目を輝かせる素晴らしいリス」を失った。「アグネスは私を決して退屈させなかった」。そう語っていたジェーン・バーキンも、アニエスの死から4年後、2023年7月16日に76歳でその生涯を閉じた。
デジタルレストア・日本語字幕新訳版
「ジェーン、いつもカメラのレンズを直視することを躊躇うのはなぜ?」
ジェーンが40歳の誕生日に、自身の30歳の誕生日を回想する間、アニエス・ヴァルダの伝説の女性への尽きることのないイメージがヴィヴィッドに展開する。その空想は、犯罪映画の妖婦、サイレントシネマの凸凹コンビ、モンローのように男たちのファンタジーの対象である女性、よくあるメロドラマの恋人たち、西部劇のカラミティ・ジェーン、ターザンのジェーン、そしてジャンヌ・ダルクへと、ジェーンのイメージを自由自在に拡張させていく。アニエスはまるで自身が画家でもあるかのように、ジェーンを名画の中に息づかせることも忘れない。一方で綴られるジェーンの日常のスケッチ。そこにはセルジュ・ゲンズブールや娘たちとの時間も織り込まれる。そのどれもが、シャイで大胆で逞しく、危うくて儚くて美しい、ジェーン・バーキンの魅力を余す事なく切り取った、アニエスによる私的な肖像画になっている。
アニエス・ヴァルダ監督・脚本作品
ジェーン・バーキン / ジャン=ピエール・レオー ラウラ・ベティ フィリップ・レオタール アラン・スーション セルジュ・ゲンズブール シャルロット・ゲンズブール マチュー・ドゥミ フレッド・ショペル
[ 1988年 | フランス映画 | フランス語 | 99分 | 1.85:1 | 5.1ch | DCP & Blu-ray | 日本語字幕 : 横井和子 ]
デジタルレストア・日本語字幕新訳版
ジェーン・バーキンの発案にア二エス・ヴァルダが応じる形で映画化が実現した作品。『アニエスV.によるジェーンB.』の撮影・制作中に、本作は撮影されている。娘(シャルロット・ゲンズブール)が自宅の庭で開いたパーティーで、泥酔した同級生の少年ジュリアン(マチュー・ドゥミ)を介抱したマリー・ジェーン(ジェーン・バーキン)は、あろうことか15歳の少年に不思議な感情を抱く。ジュリアンもまた、40歳のマリー・ジェーンに恋愛感情を持っている。微妙な力関係の中、人目を盗んで密会を重ねる二人。そんなある日、二人がキスを交わしているところを、ルシーに目撃されてしまう。パリとロンドンのジェーンの自宅と実家で撮影。シャルロットの他、ルー・ドワイヨン、アンドリュー・バーキン、ジェーンの実の両親などファミリーが総出演している。
アニエス・ヴァルダ監督・脚本作品 / ジェーン・バーキン 原案
ジェーン・バーキン マチュー・ドゥミ / シャルロット・ゲンズブール ルー・ドワイヨン デヴィッド・バーキン ジュディ・キャンプベル アンドリュー・バーキン
[ 1988年 | フランス映画 | フランス語 | 88分 | 1.85:1 | 5.1ch | DCP & Blu-ray | 日本語字幕 : 橋本裕充]
Jane Birkin
ジェーン・バーキン プロフィール
1946年12月14日、イギリス・ロンドンのメリルボーン生まれ。女優、歌手、映画監督、脚本家。ジェーンのキャリアは1960年代のスウィンギング・ロンドン・シーンでブレイクし、カウンターカルチャー映画『欲望』やサイケデリック映画『ワンダーウォール』、またセルジュ・ゲインズバーグと共演したフランス映画『スローガン』の演技で60年代を象徴するアイコンとなった。同映画では主題歌をセルジュとデュエット、これがふたりの数多くのコラボレーションの最初の作品となった。1970年代初頭に数年間女優業を休止したが、1973年にブリジット・バルドーとの共演作『ドン・ファン』で復帰。さらにセルジュの映画『ジュ・テーム、モワ・ノン・プリュ』にも出演したが、これはセックスを率直に描いた作品であったため、イギリスでは上映禁止となった。1978年には、アガサ・クリスティの小説を映画化した『ナイル殺人事件』で重要な役を演じた話題を集めた。1981年、エルメスの最高経営責任者ジャン=ルイ・デュマは、フライトで、隣の席に座っていたジェーンが使い勝手の悪そうな籠を持っていたことに気づいた彼は、彼女のためのバッグ、バーキン・バッグをプレゼントしたエピソードはあまりにも有名。一方、2014年、ジェーンは、皮の調達に残酷な方法が用いられているとして、バーキン・クロコバッグから自分の名前を削除するよう求めることもあった。
2023年7月16日、長い闘病生活の末、パリの自宅で一人で息を引き取った。彼女の病は一時改善の兆候を見せていたため、その日の夜は彼女が自立を決意し、一人部屋で過ごすことを選んだ最初の夜でもあった。
Agnès Varda
アニエス・ヴァルダ プロフィール
写真家、映画監督。ヌーヴェルヴァーグから生まれた唯一の女性監督であり、創始者の一人とされている。1954年に26歳で自費監督デビューした『ラ・ポワント・クール』、『5時から7時までのクレオ』、『幸福』、『冬の旅』など、政治的かつフェミニズム的な作品で知られる。ベルギーのブリュッセルでフランス人の父とギリシャ人の母の間に生まれたヴァルダは、もともと美術館の学芸員になることを目標に美術の道に進み、パリで美術史と写真を学んだ。その後映画製作の経験を積むことなく、独学で監督となった。
これまでに21本の長編映画を監督し、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、カンヌ国際映画祭生涯功労賞、ルネ・クレール賞など数々の栄誉と賞を受賞。カンヌ国際映画祭とヴェネツィア国際映画祭の審査員を務め、2009年にはフランスのレジオンドヌール勲章を受章。2013年、ロサンゼルス州立美術館は、映画や写真だけでなく、彫刻インスタレーションも含むヴァルダの個展を開催した。2017年には第90回アカデミー賞で、長年の功績を称え名誉賞が授与された。
2019年3月29日、乳がんのため、パリにて90歳で死去。
Poster Design
今回のトリビュート企画のポスターデザインを手掛けるのは、大島依堤亜氏。A24の一連の作品やオゾン、カウリスマキのデザインワークは、海外の映画業界からも注視されています。その大島氏が意外にもアニエス・ヴァルダやジェーン・バーキンの作品を手掛けめのはこれが初めて。ヴァルダとバーキンの頭文字のグラフィックを大胆に配した3パターンのデザインをご紹介いたします。これらのポスターは、本作の上映館はもちろん、全国のagnes b.ショップ、AUX BACCHANALES店舗に掲出・展示される予定です。
デザイン : 大島依堤亜 日本版予告編制作 : 遠山慎二 (resta film)
配給協力 : FLICKK 関西地区宣伝 : 北川友恵 北海道地区宣伝協力 : palmyra moon
配給: リアリーライクフィルムズ 後援 : agnes b.
©︎ CINÉ TAMARAS / ReallyLikeFilms 2024